罰金10万円なら、登記しなくていい?|相続登記義務化の話

ある会合の席で、相続登記の話題になりました。
不動産を相続した場合、令和6年4月からは登記が義務になり、3年以内に登記をしなければ10万円以下の過料(いわゆる罰金)が科されることになっています。
※那覇法務局HP
https://houmukyoku.moj.go.jp/naha/page000001_00343.html
その会合でご一緒した方がその会合でご一緒した方が、「10万円で済むなら、別にやらなくていいんじゃない?」
その場が「え?そうなの?」と一瞬止まった感じになって、私も「本当にそれでいいの?」と引っかかりを感じました。
相続登記を放置したからといって、すぐに生活が困るわけではありません。
たしかに、不動産を売る予定もなければ、登記の義務化と聞いてもピンとこない人は多いと思います。
でも、もし自分が何もせずにそのまま亡くなったら?
その後、その不動産を引き継ぐのは誰?
登記がされていない不動産は、売ることも貸すこともできません。
相続人が増えれば増えるほど、権利関係は複雑化し、誰かが登記をしようと思ったときには、
「誰がどこに住んでいるのか分からない」
「書類がそろわない」
「連絡も取れない」
そんな事態になってしまいます。
目先の“罰金10万円”よりも、未来の家族が背負う“トラブルと手間”のほうが、はるかに大きいと思います。
その場にいた方から「家族と仲が悪くて、話したくもない人もいて、登記が進まないこともあるらしいよ」ともお聞きしました。
現実には、相続人同士で疎遠だったり、過去にわだかまりがあるケースも多いもの。
でも、だからこそ、登記をしておけば、二度とその話題で関わらずに済む可能性があります。
逆に登記をしなければ、亡くなった後も、子や孫たちがその関係を引き継いで揉めることになってしまいます。
「自分は関係ない」では済まされない課題だと、改めて感じました。
「10万円で済むならやらない」という言葉に、一瞬そうかも…と思ってしまいそうですが、考えれば考えるほど、相続登記というのは「手続き」ではなく「未来への責任」だと感じました。
誰の価値観が正しいか、という話ではなく、それぞれの生き方、考え方があって当然です。
でも私は、自分の代でやれることはやっておけば、子どもや孫など未来の世代に「ありがとう」と思ってもらえるかもしれない。
雑談の中にあったひとことが、そんな気づきをくれました。
あのときのお話に、心から感謝です!
私は現在、やえせ司法書士事務所(字屋宜原)で勤務しており、また議会議員という立場からも、相続や登記、家族にまつわる課題についてご相談を受ける機会が増えています。
今回のテーマも、まさにそういった現場のリアルな声の一つでした。
相続登記の義務化は、すべての方に関わる可能性がある制度です。
「うちはどうしたらいいんだろう?」「誰に相談すればいいの?」と迷った際は、ぜひお近くの司法書士にご相談ください。
※必要であれば、私の勤務先(司法書士事務所)をご紹介することもできます。
ご希望の方は、お気軽にご連絡ください。
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